スイカの栽培
長年、スイカを自家栽培したいと思っていました。最初は失敗ばかりでその対応に何年か掛かりましたが、今年で何とか栽培のコツが見えてきましたのでその成果を報告いたします。
地元では栽培する人が少なく、なんとなく難しそうだとは思っていましたが、案の定、いくつか乗り越えなければならない難関がありました。数年間に渡って実践してきたことをまとめてレポートします。
品種はタキイ種苗の「夏武輝(かぶき)」です。苗から「子弦」を3本ぐらい出して育てます。(以下、弦と言います。)果肉が柔らかくサッパリしているのが特徴です。育てやすいと書かれていますが、乗り越えなければいけないポイントがいくつもありました。
最初は何も分からず5本の苗を単に植穴を掘り、堆肥と肥料を入れ、水を浸み込ませて植えました。まず、起こったことは「ネキリムシ」に付け根から切られてしまいました。(一本だけ)
防草用に黒マルチを敷かなかったため、草取りが追い付かず草の中で育てることになりました。何とか受粉に成功しましたので稲わらを入手して敷いてあげました。
実が大きくなるにつれて鳥(おそらくカラス)につつかれてしまい半分ぐらいダメになってしまいました。
収穫の目前にあったはずの玉が一つ足りません。これは人災だと思います
それでも成長した実は7㎏を超えていました。 出来たスイカは果肉が柔らかく甘みが丁度いい感じでした。なにより夏の暑い日に食べると汗が引き、後味がサッパリしていて体調まで良くなりました。
これは何とか、来年こそ成功させたいと思い反省点をまとめました
虫、草対策としては、特に植付け直後から根付いて弦が安定して伸び始めるまでは防虫(ネキリムシ用)と風に煽られて弦が痛むのを防ぐために「寒冷紗」を掛けます。
ネキリムシは地上を這って来ると言われているので黒マルチと寒冷紗も防除効果があると思われます。植付け直後、この方法で処置してからはネキリムシの被害は出ていません。
黒マルチの上に「ダイオ化成」の「わらイラズ シルバー」と言う商品名の銀色の細いテープを編んだシートを重ねて敷きます
これは防草用の黒マルチは陽が当たると高温になるため弦(つる)が焼けてしまうので距離を置くために「わら」の代わりに敷きます。
わらにはもう一つ役割があり、弦からヒゲが出てわらに絡みついて安定させるためです。風で弦が捻じれてしまうのを避けます。
カラス避けの水糸張りをします。カラスなど大型の鳥は羽を広げると1メートル余りとなり糸などがあるとイザと言うときに素早く飛び立てないので近づきません。そこで水糸を作の長手方向に50センチメートル間隔で張ってカラス避けとします。設置以降はカラスの被害は出ていません
受粉は自然(ミツバチ)にお願いすることでも大丈夫そうですが、人手によってそれぞれの弦(つる)の20節前後の雌花に雄花を使って受粉させる方法も取っています
これらの対策を実施しましたが更に盲点がありました。この地域では「キジ」が生息しています。丁度、キジがスイカ畑の中にいる時に来ましたので運よく発見できました。被害は無いようでした。キジはあまり飛ばないで地上を歩いて侵入しています。
キジ対策に支柱の周りを防鳥用の「網」で囲う必要が出てきました。翌年、この対策をして栽培に臨みました。大丈夫そうです。
しかし、この年は雨が多く梅雨前の受粉、着果が遅れてしまいました。途中で腐っていしまったり、上手くいきませんでした。
その翌年はコロナで緊急事態宣言下だったため定植が遅れ、5月半ばとなり成長が止まってしまいました。これまで失敗しつつも、幾らかの収穫があり、出来たスイカはどれもおいしいので更なるチャレンジをしていきたいと思います
2021年は畑の準備からしっかりやりました。植付けの一ヵ月前に土起こし、2週間前にも石灰を振り、起こし直しをしてから作を切って元肥と肥料をして畝を作って準備しました。植付け前には鳥避けの柵の範囲まで黒マルチを敷きました
しかし、これまた問題発生! 2021年5月1日は八十八夜(立春から88日目)です。この日、行ってみると苗が一本、寒冷紗の中にあるにも関わらず葉が枯れています。前日の寒の戻りで「霜」が降りたようです。「八十八夜の別れ霜」と昔から言われますがその通りの事が起こりました
寒冷紗を掛けてあったので一本で済みましたがやはり更なる霜の対策も考慮する必要があります。さらにこの日は「大気が不安定」との天気予報の通り、午前中にも関わらず雹(ひょう)が降ってきました。直径8ミリメートルぐらいの雹がバチバチと音を立てています。
小さい苗が直撃を受けるとダメージは大きかったと思われますが寒冷紗のおかげで大丈夫でした
弦が伸びて寒冷紗の端に弦の先端が当たるので外します。
寒冷紗を外すと必ず来るのが「ウリハムシ」です。葉の表面を円形に食べています。
枯れてしまうなど被害にはなりませんがシルバーにテープを張ってみましたが効果はありませんでした。毎年の事ですが大きな被害にならないので放置します。
受粉は順調に進み、各弦に一つ以上は受粉したようです。そのうち10個は既にソフトボール大に大きくなっています。ここで株元から少し離れたところへ2つかみ追肥をします
カラス避けの水糸張りとキジ避けの網を周りに張り巡らせました。
着果点より根元側から出る孫弦は切り取ります
子弦の2本目までは雌花が良いところ(17-20節当たり)で出て、受粉が出来ましたが、3本目になると雌花がなかなか出てきません。梅雨前にソフトボール大に出来たので今年の受粉は成功とします。害虫、鳥対策もできました。草取りをしながら成長を見守りたいと思います。
株と弦に番号を付けて管理しようと思います。「株」に番号を、「弦」についた実にはA、B、C記号をつけます。そして着果したものに荷札を付けます
成元にあるヒゲが茶色くなったので収穫。先行して1B 3A 3C 4A 5B 6B の6個収穫、それぞれ7~8㎏ぐらいになっています。果肉が少し粗い感じがしましたが、みずみずしく、甘さは十分です
今年はそれなりの大きさまで育ったスイカが多く取れました
来年のチャレンジは収穫時期を少し分散できるようにしたいと思います。 また、弦戻しが出来るようにしたいと思います
防草用として敷いている黒マルチは隙間や僅かな穴から草が生えてしまいます。取り切れなかった草が大きくなり手が付けられないようになってしまうので対策を考えたいと思います
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